これはゲーム「○えろ!プロ野球」でのシーンです。今回はこれを検証してみましょう…という前に、最近これと同じような出来事が起きていたような…。
『中日のタイロン・ウッズ内野手(35)が5日のヤクルト6回戦(ナゴヤドーム)で、内角球を投げたヤクルト・藤井秀悟投手(27)の顔面を右手で殴り、暴力行為で退場となった。ヤクルト側は事前にウッズが報復を予告していたことに「計画的犯行だ」「日本で野球をやる資格はない」と激怒。ウッズと中日・落合博満監督(51)は開き直りともとれる言動。6日に交流戦の歴史的開幕を迎える球界に、血なまぐさい空気が漂った。』
(SANSPO.COM 2005年5月5日『 中日・ウッズが藤井に暴行!ヤクルト激怒「計画的だ」 』より)
野球では昔から乱闘が巻き起こり、「投手を野手が殴った!退場だ!!」なんて事をよく見る気がしますが、「これは立派な暴行罪ではないのか?」と思ったことありませんか? 野球の乱闘に限らず、格闘技では「試合後、○○選手の容態が急変して死亡」なんてこともまれに聞いたりします。これはどうして「殺人罪」に問われないのでしょう? 誰でも一度は疑問に思ったことがあるはずです。
【傷害罪】
第204条 人の身体を傷害した者は、10年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
第205条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、2年以上の有期懲役に処する。
第206条 前二条の犯罪が行われるに当たり、現場において勢いを助けた者は、自ら人を傷害しなくても、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
第207条 二人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例になる。
【殺人罪】
第199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは3年以上の懲役に処する。
傷害罪なら「10年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」、殺人罪なら「死刑又は無期若しくは3年以上の懲役」になってしまうところですが…。
と、こんな時に出てくるのが「正当行為」という考え方です。
【正当行為】
第35条 法令又は正当な業務による行為は、罰しない。
例えば、お医者さんを例にとってみましょう。
外科医が手術をする場合、形式的にみれば、この「手術」という行為自体は傷害罪に当たる可能性があります。だって、実際に皮膚などを切る目的で患者にメスを入れているわけですから。
でも、これでは患者を助けるための手術そのものが成り立たなくなりますし、医者もいつ逮捕されるか分からないなんて、「ブラックジャック」でもあるまいし、はっきり言ってやってられません!!
というわけで、そんな「形式的には刑罰に触れる行為」であっても、正当な業務として行われている場合には「違法性がない」ということで犯罪にならないことにしましょ!というのが、この「正当行為」の考え方なのです。
たとえ「殺してやる!」と思いながら相手を殴り、結果的に相手をホントに殺してしまったとしても、ボクシングの試合として行った行為なら「正当行為」として処罰の対象にはならない、となるんです。
ただ、野球の場合、「乱闘」が正当な業務行為なのか?という判断はきっと議論が分かれる部分だと思います。だって普通に野球の試合をしていたら、「乱闘で殴る」なんて行為は起こらないわけですから。
他にも「投手が故意にデッドボールを当てにいく」というのも、正当な業務とは言いがたい行為でしょう。ただコレに関しては、打者側が「あのピッチャー、ワザとやりやがった!」ということを立証するのは非常に難しい。真面目に投げていても、すっぽ抜けて打者に当たってしまったということもありますから。でも、そう考えると、死球を当てられたり、危険な球が飛んできたりするバッターが激怒するのも、無理はないような気もするんですが…。
…と、普通に野球についての法律論を展開してきちゃいましたが、プロ野球のプレイヤーではなく、野球ゲームのプレイヤーに関していえば、もっと明確に結論が出てきます。
基本的に、ゲーム内でどれだけデットボールを当てようが、乱闘を起こそうが、バントでホームランを打とうが、プレイヤーは全くの無罪です。(…まあ、野球ゲームに限らず当たり前なんですけどね…)
でも、いくらデッドボールを当てられたからといって、画面の外で殴りあったら、これはまさしく暴行罪!
「現実の野球」も「ゲームの野球」も、「場外乱闘騒ぎ」だけは、くれぐれもご法度です!!
※画像の引用索引

『燃えろ!!プロ野球』
ジャレコ 1987.6.26
(C)1987 JALECO







